一次産業からの転換

農業といえば一次産業の代表的な存在と言えますが、最近は農業の六次産業化が注目されています。
一次産業から六次産業へと転換を図ることが、これからの農業経営に重要な影響をもたらすと言われています。
これから新規就農を考えている方は特に六次産業化を視野に入れて検討することをおすすめします。

生産、加工、販売を行う

従来の農家は作物を生産することだけに集中しているケースが多かったのですが、最近は自分で生産したものを加工したものを更に流通させて販売するところまでを手掛けるケースが増えています。
つまり、従来の農業である一次産業と、加工を行う製造業としての役割を持つ二次産業、流通や小売を行う三次産業の3つの役割を一手に担うという意味で、全ての数字を足した六次産業という造語が出来たのです。

このように経営の多角化を図る生産農家が増えたことで、農業という仕事に対する意識が大きく変わったという方が増えています。
今までの農業はキツくて汚い仕事を地道にこなすというイメージがありましたが、六次産業化が進むことで自分が生産したものをより良い状態に加工して販売するまでの流れを確立させることで、自分が生産したものに対する自信を持つことができるようになり、農業という仕事に対するやりがいを感じることができるのです。

成功事例

農業の六次産業化を積極的に進めた結果、実際に成功している事例がたくさんあります。
例えば元々蕎麦の生産を行っていた農家が、自ら栽培した蕎麦を加工して販売を行うために蕎麦店を開業したという事例があります。
蕎麦の品質には自信があったものの、その蕎麦を製粉するための設備をどうするのか、製粉したものをどのようにそばとして加工するべきなのかなど課題があったそうですが、一つずつ問題をクリアしたことで成功することができたそうです。

まずは自分で栽培した蕎麦を加工するための精粉と麺にする加工設備は、公的な補助事業を上手に活用することができました。
設備ができてもそば打ちをする技術はどうしたら良いものかと考えた結果、知り合いを通じて技術者や職人を紹介してもらったことでそば打ちの問題もクリアできました。
こうして蕎麦店を開業する準備ができたことから、店を開店させたところお客様からも大好評を得て、生産者の顔が見えるお店として一躍人気店になったそうです。

安心して口にしてもらえるそばを直接消費者にお届けしたいという生産農家としての夢を実現することができました。
その後、生産した蕎麦を乾麺にして店で直売したり、ネット販売をすることで更に売上を伸ばすことにも成功したそうです。
今では地元を代表する有名な蕎麦農家・蕎麦店に成長することができました。

このような成功事例を目指し、六次産業化を加速する農家はたくさん存在しています。