農業の自動化を支える「ミズニゴール」とは

ミズニゴールは、小規模農家の経済的負担を軽減し、同時に農作業による身体的負担も減らそうという狙いに基づき、長野県で開発された農作業サポートシステムです。
最初に発表されたモデルは、名前が示す通り「水田の中にある水を濁らせる」という機能を搭載していました。
水を濁らせることで太陽の光が水田の底まで届かなくなるので、光合成による植物性プランクトンの繁殖を抑え、雑草の育成も抑制することが可能という画期的なアイデアを実装したマシンなのです。
導入は2022年で、クラウドファンディングによる金銭面での支援を受けてスタートしました。

長野県で稲作を営む複数の農家を対象としてミズニゴールを導入したところ、雑草が以前よりも大きく減り、農作業の負担を減らすことに成功しました。
また、これまで土壌の栄養を奪っていた雑草が減ったことで、稲の生長が良くなりました。
加えて、雑草対策として行う農薬の散布量も減らすことに繋がっており、収穫量の増加にも一定の効果があったと報告されています。
このように実験的に行われたケースでいずれも複数のメリットが報告されたことから、ミズニゴールは高齢化や労働人口の減少に悩む多くの地方自治体から注目を浴びる結果となりました。

ミズニゴール2.0の利点や特徴をチェックしよう

従来のミズニゴールに新たな機能を搭載したのが、ミズニゴール2.0です。
2023年初頭に発表されたこの新しいモデルでは、水を濁らせる作業をより効率よく進めるため、GPSによる自動操作機能が付け加えられました。
初代モデルではリモコン操作で、作業をする水田に逐一マシンを運ぶ必要があったのに対し、ミズニゴール2.0では事前に設定したエリアをマシンが自動的に判断して、水を濁らせる作業を順次進めていってくれます。
また、複数の水田をまとめて指定でき、マシンを一々動かす必要がないというのも魅力的なポイントと言えるでしょう。

ミズニゴール2.0の特徴として、「軽量で壊れにくい」という点が挙げられます。
丈夫なプラスチック素材で作られており、防水性能も高いので泥や雨水などが入り込んで故障する心配もほぼありません。
また、水田の中で移動していてもバランスを崩さないようデザインされています。
加えてマシンの重量がわずか8kg前後なので、年配者や女性でも比較的運搬が容易というのも特徴でしょう。

ミズニゴール2.0を導入することで、水田管理の作業効率は15倍から20倍アップすることが期待されています。
また、水田の地質維持やコスト削減にも良い影響が及ぶと考えられており、スマート農業や新規農業従事者の開拓といった農林水産省の掲げる目標とも合致していることから、ミズニゴールのさらなる普及が確実視されています。