動力散布機の概要とその役割

農薬や肥料を田畑に散布するのは、農家にとってかなりの時間と労力を使う作業です。
すべてのエリアにまんべんなく散布していくためには技術が求められることもあります。
散布をしっかりと行えないと、害虫被害が出たり生育に支障が出たりと、収穫量に直接的な影響を及ぼします。
それだけに、噴霧作業を効率的に行うのはとても大事なのです。

そこで農家が活用しているのが動力散布機です。
動噴と略して呼ばれることもありますが、高圧のポンプとエンジンが付いている装置のことで、機械を動かして大容量のタンクに入っている肥料や農薬などを吸い上げ、霧状にして散布していくことができます。
散布機の先端のノズルにはいろいろな種類がありますので、それを変えることで散布の範囲や濃度、溶液の種類に合わせられます。

散布機は手動のものもあり、手押しで容器内に圧力をかけて、タンクを背中に担ぎながら田畑に散布していきます。
狭いところではこうした方法でも良いのですが、やはり広い田畑だとなかなかすべてを終えるのは難しいです。
その点、動力散布機であれば強力なエンジンとポンプで撒くことができますので、手動では何回も行ったり来たりしないといけないところを一度で終えられます。
時間も作業車の負担も大幅に軽減できますので、農家にとっては欠かせない機械となっているわけです。

また、動力散布機を別の使い方で使用することもあります。
液剤を吸わせることなく、空気だけを勢いよく吐き出すこともできるためブロワーとして使うのです。
落ち葉が溜まっているとか、もみ殻が固まっているといった状況でブロワーをかけることで、手作業で掃除をしなくても済みます。

動力散布機の主な製品について

動力散布機はさまざまな製品が販売されており、その大きさや主な使用目的などによって、機能や使い方が変わってきます。
一般的には背負い式の製品が用いられていて、たとえば「共立 DME」シリーズや「DMC」シリーズなどは、多くの農家に支持されています。
ワンタッチでの操作が可能で肥料や農薬の切り替えを簡単に行えますし、噴霧量などの調整も視覚的に分かりやすく、その場に合った作業ができるのもポイントです。

「ゼノア MD」シリーズもよく用いられています。
28Lサイズの製品もあってかなりの容量を一気に撒いていくことができ、パワーが強いので一回当たりの散布面積も広く効率よく作業がでいます。
大きな区画の畑で散布する時には頼もしい味方となります。
シャッターやスライドクランク式となっていて切替作業も楽に行えるのでスムーズですし、エンジンの発動も軽い力でできますので、ストレスフリーというのもうれしいところでしょう。