若者の間での農業

それでは、現在の農業従事者を巡る状況がどのようになっているのか、ということについて、より具体手的に紹介します。
まず大前提として、農家の平均的な年齢は現在66歳という高齢になっていることを見ておく必要があるでしょう。
この年齢は一般的な会社ならば定年退職をしている年齢であることを考えると、かなり大きな問題として高齢化が訪れていることが分かるかと思います。

そういった中で、一つ希望のある統計も存在しています。
それが、新規就農者数のデータです。
この新規就農者数と新規参入者のデータを見てみると、近年では多少ではあるものの増加の傾向にあることが示されています。
自分で農家を起業している場合もあれば、農業関係の仕事に従事している場合もありますが、いずれにせよこの分野が増加しているというのは喜ばしいことといえるでしょう。

それでは、何故今になって新規就農者数が増えるというデータが出るようになったのでしょうか。
これについて、大きなポイントとなっているのが、やはり「農家の役割」にあります。
「農家の役割」の記事に紹介したとおり、農家というのは極めて広い役割を持ち、様々な理由によって社会に貢献することができる存在です。
新しく農家となる人が多いのは、「使命感を持って働くことができる」という理由からであるという分析が行われていることもあります。

また、農家をしていく上で重要な点の1つとして、自分や会社としての成長が見極めやすいという部分があります。
農家の仕事をしていると、その年の農作物のできがどうであるのかを見ることによって、その年の仕事がどのようなものであったのか、良いものだったのかどうか、ということが判断できます。
これによりノウハウを積み重ねていき、さらに良い仕事ができるようになっていくのは魅力の1つと言えるでしょう。

自治体の動きも影響

上記のように、社会的な役割や、自己の成長を目的としている人が多くなっている、というのも新規就農者数の増加に寄与していることは間違いありません。
それと同時に、地方自治体による努力があったこともまた無視することができない理由です。
その大きなポイントとなっているのは、多くの地方自治体によって行われている「農業法人」の立ち上げです。

農業法人というのは、例えば稲作や施設園芸などを営んでいる法人のことを指しています。
こういった農業法人が増えると、「自分で経営をしなければならない農家は辛いが、農家の仕事には興味がある」という人が就業しやすくなるといえるでしょう。
自分での経営を行うのではなく、就業者として農家を目指す、という選択肢を取ることができるようなっているのが新規就農者増加に大きな拍車を掛けたことが考えられます。