農家の基本的な役割

それでは、農家の役割というのはどのようなものなのか、ということについて紹介します。
様々な職業に社会的な役割が存在しているのと同じように、農家にもその社会的役割が存在しています。
その大きな役割となっているのは、やはり「食料の供給」を行うという部分にあります。
日本という国は、一部の農産物などを除くと食料自給率がかなり低くなっており、輸入に依存している部分があります。

農家に求められているのは、こういった食料自給率がこれ以上下がらないように維持し、可能ならば向上させる、という役割を担っています。
将来的に食料が不安な国であるといわれてしまうことがないようにしなければなりません。
そしてこれと同様に、農家には日本で取られてきた伝統的な食文化を守っていくという役割も担っています。

日本以外では余り食べられていない農作物等がある以上、これらの生産については国内の農業でまかなうことができなければなりません。
これを放棄してしまえば、その食文化自体を手放すことになってしまうためです。
また、これまでに伝統的に引き継がれてきた農業知識や伝統的な農業を引き継いでいくという文化的な役割も、農家の役割の1つとして期待されているものとなります。

副次的な役割

ここまでに紹介してきた農家の役割というのは、あくまでも一面的なもので、第一義的な役割ということになります。
しかし、農家、及び農業にはこれらの役割だけではなく、本来目的としているものとは少々違っているものの、副次的に効果を期待することができる役割というものが存在しています。
ここでは、農家の持つ副次的な役割というのがどのようなものであるのかについて紹介します。

まず紹介するのは、「治水」の役割についてです。
日本という国では、特に昔から水田による農業が行われてきました。
そしてこの水田の農業が盛んであることによって、川の氾濫を防ぎ、洪水を防ぐ機能が維持されてきたという側面があります。
また、山の麓で行われる棚田などの農業には、山からの土砂崩れを防いだり、土が流出してしまうことを防ぐといったような環境保全の役割が存在していることがわかります。

また、水を多く使用する農業の場合、地下水を作り出すという役割も存在しており、これによって地下の安全が保たれているという部分もあります。
さらに、農業を行っている地域においては、自然が保持されるようになっているため、これによって様々な生き物の生態系を保つ事ができるという役割も存在しています。
人間に対しても、田園的な風景によって癒やしを提供することができるようになっており、多面的な役割によって農家は存在意義を持っている、ということが言えるでしょう。