マダニにも気をつけよう

マダニとは

「マダニ」はダニのなかでも大型で、吸血性のダニの総称です。
マダニは、「日本紅斑熱感染症」「重症熱性血小板減少症候群」などの感染症を媒介すると言われています。
この致死率は、15~25%と非常に高く、日本でもこれまでに70名以上が亡くなっています。
最もSFTS患者が多い中国では、SFTS患者の3割以上に出血症状が見られることが報告されて、「ウイルス性出血熱」の一つとされています。

日本においては、ネコやイヌなどのペットがSFTSを発症した事例が相次ぎ、SFTSを発症した動物からヒトが感染することも報告されています。
これらの感染症は、38度以上の発熱、嘔吐、下痢、食欲低下などの症状をもたらし、重症化すると命に関わる危険があります。

マダニは2~3mmと大きく、屋内に住むダニ類とは別種のものです。
また、吸血した状態のマダニは、体重が100倍以上にもなります。

マダニの生息地

マダニの主な活動期は春から秋で、イネ科植物の茎や葉に生息していて、そこから動物に寄生します。
一生の中で吸血する期間は20~25日間ですが、数ヶ月から数年は何も食べずに生きることができ、飢餓に強い害虫です。
その他の期間で脱皮や産卵し、動物へ寄生する機会を待ちながら生活しています。

そして、マダニが生息する地域は山や草地のみならず、公園や河川敷、庭などといった身近な場所での生息も確認されています。
屋外で寄生されたり、ペットに付いたりして家に持ち帰ってしまうこともありますので、注意が必要です。

マダニ対策と予防法

マダニに刺されないための方法から見ていきます。
まずは服装です。
長袖長ズボンは蚊やブヨなど、他の虫にも刺されないに有効です。
これに加えて、首はタオルなどで防御しておきましょう。

シャツの裾や袖口は、なるべく手袋やズボンに入れて、マダニの侵入口を塞いでください。
また、防虫スプレーはマダニに有効な成分(ディート)が配合しているものもあります。
防虫スプレーの効果の目安は、1時間〜3時間ほどですので、こまめにスプレーするようにして下さい。
帰宅後は入浴時などに、高い頭部、耳の中と耳の後部、首の周り、わきの下、鼠径部、大腿内側、膝の後部などにダニの付着や刺咬痕がないかを確認してください。

マダニに刺されると、皮膚が赤く腫れあがるのが特徴です。
また、かゆみを伴わないことも多く、吸血されていても気付かないことがあります。

マダニに刺されたら、無理にマダニを取ろうとしたり、潰したりすることはしないで下さい。
マダニの口が皮膚の中に残ると化膿したり、マダニの体液中の病原体が体内に流出し、感染症のリスクが高まります。
マダニに刺された時は、医療機関でマダニの除去と消毒などの処置を行いましょう。