耕作放棄地の問題点

耕作放棄地とは何か

耕作放棄地とは、作物を栽培していた土地が使用されなくなって1年以上が経過しており、栽培は引き続き可能ではあるものの、当面の間その土地を使用する予定もない状態のことを指します。
耕作放棄地が増えている背景としては、農業従事者が高齢化していることに加えて、農業を引き継ぐ若い世代、つまり新たな担い手がいないという点が主に挙げられるでしょう。

ほとんど使用されていないものの、栽培が多少なりとも行われている土地は「遊休農地」と呼ばれます。
一方、土地が荒れ果ててしまい作物の栽培に一切適さない状態になっている土地は「荒廃農地」と呼ばれ、耕作放棄地とは異なるので注意が必要です。

耕作放棄地が引き起こす問題

耕作放棄地が増えることで、「害虫や野生動物が増える」という問題が起こります。
作物の栽培をやめてしまうと病気や害虫の対策が行われなくなるので、雑草が生えて土地が荒れ放題になります。
そうなると、隣接する田畑にも悪影響が及んでしまうのです。

また、山や森からイノシシやサルなどが降りてきてしまい、耕作放棄地に住み着いてしまうというケースは少なくありません。
そうなると、近隣の農地へ次々と入っていきそこで栽培されている作物を荒らしてしまうのです。
こうした害虫や害獣によって収穫量が減ってしまうと、農家の収入にも多大な影響が及びます。
作物の市場価格が高騰するということも起こり得るでしょう。
ですから、耕作放棄地の問題は非常に深刻なのです。

耕作放棄地が増えると、自然災害のリスクが高まる問題もあります。
農作地は大雨が降った時に山から下ってくる水を堰き止めたり、火災の延焼を抑制したりといった効果があります。
土地が放棄されて荒廃してしまうと、こうした自然災害の予防効果が下がってしまうのです。
また、雑草が繁って視界が悪くなることで、不法投棄の温床となるリスクも少なくありません。

問題を解消するための取り組みについて

耕作放棄地の問題を解消するため、農林水産省が推し進めている取り組みとして「農地バンク」が挙げられます。
これは2014年にスタートした取り決めで、高齢などの理由で農業ができなくなった人と新たに農業従事者となることを目指す人を繋ぐ懸け橋となるものです。
農地バンクに登録してある土地を使わせてほしいと思う人は、借受公募へ申請して農地中間管理機構の審査を受け、各自治体の認可を受けることで利用可能となります。

「全国農地ナビ」という検索システムを活用すれば、ネットで簡単にレンタル可能な土地を探すことが可能です。
最近では、耕作放棄地を開拓しようとする人のために様々な農機具を格安もしくは無料でレンタルしている自治体も増えてきています。