備えあれば憂いなし「収入保険制度」

「収入保険制度」の概要、加入条件

農業という産業は非常に外的要因による影響を受けやすく、天候の悪い年や自然災害があった年などは思うように収穫を得ることができなかったりします。
一般消費者にとっても、猛暑の夏のあとや地震など災害があった地域で採れる作物が急激に高騰することがよくあるので身近な問題として良く知っているところではないかと思います。

また農業経営というのは職業的には自営業として扱われるため、サラリーマンのように各種福利厚生や社会保障があるというわけではなく、もし自分自身や一緒に農業をしている家族親類が病気や怪我で働くことができなくなったとき、その時期の収入がゼロになってしまいます。

そうした不安定な収入状況を嫌って農業を廃業する人が増えてしまうと、国内の自給率が下がり安定的な食品供給ができなくなってしまう恐れがあります。
そこで国として農業経営をする人を守るために、「収入保険制度」というものが整備されました。

「収入保険制度」というのは簡単に言えば上記で説明したような農業経営をしていて思うように収穫をすることができなくなってしまった場合に、一定の割合でその分の収入を保証するというものです。

制度がスタートするのは2019年1月1日からで、スタート時より利用をするためには2018年11月末までに申し込みをするとともに12月末までに保険料を支払う必要がありました。
現在では申込みをすることにより順次受付をしています。

なお加入をするためには農業を営んでいるという事実だけでは足りず、青色申告をしていることが条件となっています。
青色申告というのは自営業者が確定申告で行う方法の一つで、申告のときには帳簿の提出を求められるという特徴があります。

農業収入について白色申告をしてきたという人も、今後は収入保険制度を利用するために青色申告に切り替えるということがおすすめになってきます。

営む農業の品目については特に規則はなく、稲作や野菜などの畑作物の他、果樹園や花栽培、タバコ、お茶、きのこ類、はちみつなどほぼすべての作物が対象となっています。

ただし畜産関連(食肉牛・豚・鶏、鶏卵など)については別途保険措置制度があるため今回の収入保険制度を利用することはできません。

収入保険制度を利用するときの注意点

この収入保険制度の補償対象となるのは自然災害や天候不良による収量の減少だけでなく、本人の怪我や事故、その他本人の経営努力によらないあらゆる事例とされています。

一方で経営目的で行う捨て作りや安売りによる損失については補償対象外とされています。
迅速に補償を受けるためには農業日誌など記録をしておくということも条件になっているので、いざというときのために規約を十分に読んでおくようにしましょう。