品種改良の基本

農業で行われている品種改良とは

「品種改良」は現代農業を行うにおいて非常に重要な意味を持つ技術です。
近年では「遺伝子組換え作物」などよくないイメージがつきまとう場合もありますが、本質的には農業の質を高めてより多く品質のよい食物を作り出すために必須のこととなっています。

日本の農業における品種改良で最も大きなものと言えばやはり稲作でしょう。
日本では古来より主食として米を作ってきたという歴史があることから、より品質のよい稲を育てるということはより多くの人の食料を確保するために必須のことであったからです。

稲作以外にも現在私達がごく普通に口にしている野菜や果物の多くは、過去に多くの地域で品種改良を加えられてきたものであったりします。
そのように考えると、私達が「自然のままの食材」と考えている食物の多くは決して自然のままというわけではなく、栽培される以前から人の手が大幅に加えられた食材ということになります。

そもそもなぜ品種改良が必要かということを考えると、もともと自然の中で生息してきた食物になる植物というのは病気や害虫に弱く、また一回の収穫でそれほど多くの実をつけることがありません。
そこでより人の口にあいやすい味や形にするとともに、より少ない土地や時間で大きな可食部をつけることができるようにすることを目指すために行うのが品種改良というわけです。

過去の品種改良の方法は、いわゆる「掛け合わせ」と言われるような別の特性を持った品種と交配を重ねて安定的に特定の特徴を備えた植物のみを増やしていくという方法が主流でしたが、現在ではむしろバイオテクノロジーと言われる遺伝子操作によるのが通常です。

現代的な農家はそういった理由により高度化をしており、AIの導入や品質管理システムの導入など、化学工場以上に多くの技能を必要とする産業となっています。

品種改良の歴史と代表的な作物

先に品種改良の代表的な作物として「稲」を紹介しましたが、その他にも多くの野菜が過去に大きな品種改良を加えられています。
例えば今や全国どのお店でも簡単に購入をすることができる「にんじん」などは、10世紀頃から食用に栽培されるようになってから、大幅に品種改良を加えられてきた食物です。

自然のままのニンジンはかなりサイズ的に小さく、また色も白みがかった植物の根に近いものでした。
それを品種改良することにより色が濃く、甘みがあって苦味がない太さや重みのあるものへと変化をしました。

品種改良の現状

品種改良はこれで完成というものはなく、現在も全国の施設で研究が続けられています。
特に米については主食用だけでなく日本酒用のものや米粉用、餌料用など用途に応じて使い分けができる米が研究されているところです。